風の村花日記

地域福祉に関する研究会

 千葉県教育会館で、「地域福祉に関する研究会」があった。県内のおもに障害関係の事業、活動を行っている人たちの研究会で、私も末席に加えていただいた。第6回の昨日、初めて参加した。
 講師は旭の海上寮診療所副院長、精神科医の上野秀樹氏、テーマは「認知症は地域で治す!~精神科医訪問診療の試み~」

 今、精神病院で認知症を持つ人の入院が急増している。平成20年には5万2千人、9年前の1.4倍に増えている。日本の精神病院は、諸外国と比べて人口当たりの病床数が多く、平均在院日数が図抜けて長い。欧米10カ国平均が18日なのに対して日本はおよそ300日である。政府もようやくこの問題に取り組み始め、いわゆる社会的入院患者が7万2千人いるという調査結果を公表し、地域生活への移行を進めようとしている。
 認知症を持つ人の入院が増えているのは、これによって生じた空きベッドを埋めるための新たな営業政策といわざるを得ない。
 上野さんは、精神科医としてはっきりと、認知症の人の精神科入院はできる限り避けるべきだと断言しておられた。それは、介護の側で認知症を持つ人とかかわっている私たちの実感だ。認知症の周辺症状、いわゆるBPSDのほとんどは環境とケアによって収まるものであり、精神医療的な対処が必要なケースは少ない。しかも、精神病院のような「生活」環境に置かれれば、症状が悪化することは容易に想像できる。
 空きベッド対策で認知症を持つ人を精神病院に送りこむ愚は何としても阻止しなければならない。

 タイトルどおり、上野さんは精神科医として在宅や施設入居の認知症を持つ方への訪問診療を行っている。訪問診療を行なう精神科医は全国に数人しかいないという。上野さんのような精神科医が増え、認知症を持つ方をケアする家族や介護従事者が、必要に応じて訪問診療を受けることができればどんなに在宅ケアの質が高まるか、心ある精神科医が増えることに期待したい。
 地域医療に取り組む在宅医が増えているので、こうした人たちと上野さんのような精神科医の交流によって、在宅医の認知症ケアのスキルアップを図ることも重要だ。
by toruikeda | 2011-02-18 00:32
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社会福祉法人生活クラブ理事長の日記

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