風の村花日記

アルカイールアカデミー

 アルカイールアカデミーは、パキスタンの大都市カラチのスラム地域にある学校である。1987年にムハマッド=ムザヒルさんが一人で始めた活動は、今や、分校、職業訓練校を含め、2500人の生徒が学ぶ規模に広がっている。15年前から、JFSA(日本ファイバーリサイクル連帯協議会)という組織が、アルカイールアカデミーの運営を支援する活動を続けている。そのJFSAの招きでムザヒルさん一家(ムザヒル校長、副校長でもある奥さま、4人のお子さま)が来日、今日、生活クラブ生協でパキスタンの子供たちをめぐる状況をお聞きする講演会と歓迎会があった。
 私は、2年前にアルカイールアカデミーに行った。5年前にできたカチラクンディ分校を訪れた衝撃は忘れられない。カチラクンディはカラチじゅうのゴミが集まるゴミ捨て場だが、広大な敷地の一角に3千人の人々が暮らしている。日々、ダンプで運び込まれるゴミに火をつけ、その燃え残りから金属などを取り出し、それを売って暮らしているのだ。そして、それは子供たちの仕事だった。ゴミを野焼きをすればダイオキシンが発生する。見えない猛毒にさらされて子供たちが一家の重要な働き手として仕事をしている。
 その一角につくったアルカイールアカデミー分校に300人の子供たちが学んでいる。学校の立地としては最悪である。しかし、暮らしの場であり仕事の場でもあるごみ処分場の中につくらねば、子供たちが通うことは不可能なのだ。アルカイールアカデミーは授業料無料で運営しているが、子供が重要な働きであるスラム地域では、タダでも学校に来ることは容易なことではないのだ。
 私は、カチラクンディ分校の前で、解きようがない難問、将棋で言えば千日手に入り込んだような気持ちに陥って、言葉を失ってしまった。「どうやって、この救い難い矛盾、堂々巡りから脱出できるのだろうか。自分に何ができるのだろうか」

 生活クラブ生協など国内一万人くらいの人たちから送っていただいた古着をパキスタンに輸出し、現地のアルカイールアカデミー事業部が販売、その収入を学校運営資金にしている。JFSAは、その事業を15年にわたって続けている組織である。詳しい活動を、ホームページで知ってほしい。
http://www.f3.dion.ne.jp/~jfsa/index.html


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by toruikeda | 2009-06-24 00:07
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