風の村花日記

保守と革新、右翼と左翼

 佐伯啓思という学者をご存じだろうか。京都大学大学院教授で、いわゆる「保守本流」の研究者と言われている。今朝の朝日新聞にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加の是非を論じる彼の論考が載っており、それを読んで改めて、保守対革新とか、右翼対左翼という二元論的な発想は意味を失ったのだと再確認した。
  TPPの問題は一筋縄ではない(軽々に、賛成、反対といえないということ)と感じており、なるべくいろいろな意見を読み、聞き、自分の意見をまとめたいと思っている。佐伯氏は、この問題に直接の見解を述べるというよりは、日本は成長型経済から脱皮し、グローバルな競争社会から離脱することが必要だと言っている。決して独創的な意見でも、対症療法的意見でもないのだが、極めてまっとうで、納得できる。
 先日、「デフレの正体」(角川書店)を紹介したが、今後人口が急減するこの国において、経済成長率が上昇を続けることはあり得ないと言って良い。GDPが上昇することがあるとしても、それは外需主導つまり輸出拡大によるものであり、企業がそれによって得た利益を労働者に配分しない限り、内需が拡大することはない。
 TPPに参加するかしないかという議論の前提として、今世紀末には6000万人を割ると推計されている人口急減社会における人々の暮らしの「思想」を構築することが必要だと、佐伯氏は言っているのだと思う。
 佐伯啓思に最初に触れたのは、10年ほど前に出版された「市民とは誰だ」だった。まだ、保守、革新というレッテル張りが私の中で残存していた頃であり、自らを「革新」の側に位置付けていた頃だったが、この本は、そういう自分が大きく変わるきっかけの一つになったと言って良い。なまじな「革新」「左翼」より、「保守本流」のほうがよほど面白いし、まっとうではないか。
 久しぶりに佐伯氏の論考に触れ、早速彼の最新刊を注文した。
by toruikeda | 2011-01-21 19:03
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